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Interview

W3Cの、メンバー。

楽しそうにやる。そして、バトンを渡す。

――サイボウズ デザインテクノロジスト・Sakitoさん

Studioオフィスのソファーにて、サイボウズSakitoさんにStudio中神がインタビューしている。

2025年、StudioはW3Cに加入しました。そして同じ年に、サイボウズさんもW3Cに加入。いわばW3Cの同級生です。

先日、サイボウズさんからお声がけいただき、CTOの諸田にインタビューいただく機会がありました。じゃあ今度はこちらからもお願いします、とサイボウズのデザインテクノロジスト、SakitoさんをStudioオフィスにお招きしました。

W3Cに企業として参加することで、何が変わるのか。そこで得たものを、プロダクトや会社、そしてコミュニティにどう還元していくのか。W3Cへの参加をきっかけに広がっている活動についてのお話になりました。聞き手はエンジニア・マネージャーの中神です。

中神: Sakitoさん、今日はStudioオフィスまで来ていただいてありがとうございます。とはいっても、最近はかなり頻繁に来ていただいてますよね。うれしいです。

最初にお会いしたのはStudioのエンジニアイベント「TechTalks! #3」ですよね。

Sakito: そうですそうです。デザインエンジニアの回に呼んでいただいて。

中神: その節はありがとうございました。僕が企画するイベントはいろんな立場の人と結論のない話をする傾向があるんですけど、あの時はSakitoさんからはサイボウズの現場のお話を聞かせていただいて、それがかなり全体の筋になったので、すごくうれしかったです。

その時は、デザインテクノロジストとしてサイボウズで働いておられるなかで、デザインとエンジニアリングの橋渡しをするために、ない仕事を作って実行するというスタンスだという話でしたが、最近も変わらずですか?

Sakito: そうですねー。ぼく自身は職種っていうのがたぶん、なくてですね。

インタビューに答えるSakitoさん

今はプロダクトデザイン部の部長、そしてエンジニア組織の副部長・マネージャー、あと新しい役割なんですけど、AI推進開発のリード・副部長、という3つの立場です。主に戦略考えたり、環境を作ったりとか、メンバーとの障壁を取り除いたりとか、そういうことをやっていますね。

中神: 変わらずどころか‥むしろ役割が増えている。それぞれのチームで戦略を考えて環境を作り、みんなに効果的に動いてもらうというのは、カンタンではないですよね。

Sakito: そうですね‥。でもぼくの関わる、デザイン・エンジニア・AIという3つの分野はかなり重なってるんですよね。デザインとエンジニア両方分かる人じゃないとバイアスがかかって戦略が立てにくいし、AIと仕組みは深く関係しているし、という考えで動いています。エンジニアリングが分からなければデザインを良くできないし、デザインが分からなければ良いユーザーインターフェースが作れないし、という意識でいて、仕事の間に落ちたピースを僕が拾ってつなげる、という仕事と捉えてますね。

中神: なるほど。そういう拾い方ができるというのが、Sakitoさんらしいところですよね。

インタビューする中神

今回は、同じ年に加入したW3Cの会員企業同士ということでお話を聞こう、と思っていたんですが、いまお聞きしたSakitoさんの役割と、W3C加入の話って関係していると思うんですよね。W3Cに入って活動することを、Sakitoさん自身がどう考えてやっているのか聞いてみたいなと思っていました。

まず、ご自身のスタンスとして、どういうモチベーションでW3Cの会員活動に携わっているんでしょう?

Sakito: そうですね、前段から言うと、W3Cに入ったきっかけっていうのは、単純にWeb標準に取り組めるチャンスというか、入口は誰にでも開いてるよ、という気づきがまずありました。年会費は会社の年商を基準としているので、うちの場合もカンファレンスに出すスポンサー費ぐらいのコストだというのもわかった。他のマネージャーとも話し合って、それなら一回やってみようみたいなぐらいのノリでした。

もちろんその年に日本国内でTPACがあったっていうのもきっかけではあったんですけど、サイボウズとしてOSSの活動にも寄付していますし、いろんなコミュニティや技術に対して会社として還元できるいろんな方法がある中に、W3Cへの加入もあるな、と思ったんです。サイボウズは起業当時からずっとWebの技術と共にある企業だし、僕たち自身もWebの進化とともにできることが拡がるので、貢献したいと思って加入しています。

中神: 確かにW3Cへの加入はOSSへの貢献と近いものがあるなというのは、僕自身も感じています。コミットすることでお互いに世界が広がるなと。W3Cを通じて、個人としても、組織としても、どんな影響があったと思いますか。

まずユーザーのことを考えている。

Sakito: そうですね、やっぱりTPACが日本で行われた時に、サイボウズから10人くらいで参加したことの影響が一番大きかったと思います。

TPACの会場では、各部屋でいろんなワーキンググループの人たちが話しているんですが、たとえば僕が参加したWeb Componentsのワーキンググループは、かなり小さな会議室に、仕様を決めている人たちがいて。

その人たちも別にこれはこうするべきだって決めているわけではなく、「この仕様はユーザーはどういう使い方をするの?」とか「ユーザーにどういう影響があるの?」っていう話をずっとしていました。

「ユーザーの声を聞かなきゃこれは決められないよね」とか、「ちゃんと声を聞いてもっといい判断をできるようにしよう」みたいな、ユーザーを意識した会話がかなり多かったんですよ。

まずユーザーのことを考えている、という点で僕たちと一緒だと思いましたし、仕様策定によって技術者やデザイナーにいい影響を与えたいっていう熱量を感じました。

そこで何かが決まるというよりは、もっと対話しようとかコミュニケーションしようみたいな発言もたくさんあって。しかもその中に、僕たちのようなユーザー、つまりアプリケーションを作ったり実際に技術を使っている人たちがまだまだ少ないんですよね。

スペシャリストが Invited Expertsという形で招待されていて、その人たちからユーザーの声を聞くことも多いようだったので、自分たちが役立つ場面はまだまだあるなと感じましたね。

中神: なるほど。何か社内での変化はありましたか。

Sakito: 社内での変化としては、たとえばうちのメンバーの中に、TPACに参加して、WebのAPIについて色々なことがあるのは知ってたつもりだったけど自分は何も知らなかった、ということに気づいた、というメンバーがいまして、改めてMDNとか全部読んで調べて、得た知見を他のイベントで登壇して発表していました。そういう発見や活動に繋がったのはよかったなと思いました。

中神: メンバーに変化があるとうれしいですよね。

Sakito: それぞれ変化というか、社内にも刺激があったなと思ってます。

中神: TPACに参加したStudioメンバーの話を聞くと、たしかに良い影響があったんだなと思っています。Webをより身近に感じて動くようになった、というか。

Sakito: そうですね、感じましたね。あと、もっと自分たちにできることがあるんじゃないか、もっとコミットできるなという、そういう気持ちになりました。今特にウォッチしているワーキンググループでいうと、Web ComponentsとかAPIとか、CSSがあります。

インタビューに答えるSakitoさん

ワーキンググループじゃなくてコミュニティグループでいうと、デザイントークンとか、最近だとデザインシステムのドキュメンテーションの開発ができたりとか。

Webをこうしたらいいのに、こうなったらいいのにって考えてる人たちがいっぱいいて、僕たちが考えてることと一緒だな、と感じられる。

社内メンバーはそれぞれウォッチするワーキンググループは違うんですけど、興味があるところからまずメーリングリストに入って、情報をまずはウォッチしてる、という人が多いと思いますね。

中神: たしかに自分と同じような関心を持ってる人が世界中にいるんだなっていう実感が得られるというのが、いいところですよね。

Sakito: そうですね。

中神: TPAC後のW3Cとの関わりとか、影響についてはどうですか?

Sakito: そうですね、TPAC参加をきっかけにアイデアを考えてくれたり、考え方が変化したのかな、というメンバーはいるんじゃないかと思いますね。Web標準へのコミットメントを上げようとか、W3Cのつながりでできた人を登壇者として呼んでみようとか、それぞれができることをW3CだったりWeb標準と紐づけるっていう発想は起きつつあるんじゃないかな、と思います。

中神: たとえばOSSへのコミットって、短期的には事業利益にはならないですよね。でも長い目で見るといい影響がある、という話だと思うんです。W3Cの加入や活動も似たところがあると思うんですけど、「どういうスタンスでコミットしたらいいんだろう?」って考えることはありませんか?

プロダクトとコミュニティは相互に良くなっていく。

Sakito: そうですね。これは僕の入社前からある文化ですけど、業務がまずあるのは前提としつつ、自分たちが課題に感じていることをWeb標準やOSSに貢献することで表現するというのも業務の1つ、という見方があるんですよね。

なのでマネージャーとしてそういう環境を広げていきたいし、後押ししたいなと思っています。とはいえ日々そのバランスは取る必要があるよね、ていう対話をしてるって感じですね。

あと、サイボウズはそもそもプロダクト自体が、協業するエコシステムを持っているんです。エコシステムを通じて、プロダクトに対していろんなコミュニティの方がいろんなものを作って貢献してくれたり、いろんな声を上げてくれるから、相互に良くなっていくっていう事業なんです。

コミュニティのだれかが課題に感じていることを技術的に解決すると、できる表現が拡がって喜ばれるんですよね。例えばトランシーバーから音声を飛ばして、うちのアプリケーションにAPI経由で音声データを入れる、みたいな技術を実装するには、そもそもWebの発展がないとできない。だからビジネスに直接結びつくわけじゃないとしても、役に立ちたいと思っています。

デザインシステムもそのひとつなんですよね。コンポーネントライブラリをエコシステムに提供して、エコシステムがコンポーネントライブラリを使って、そしてまた全体が良くなっていくという。

将来的にはデザインシステムも、単にReactのコンポーネントを提供するだけじゃなく、Web Componentsが必要になると思うんです。

自分としてはそうなった時に、Web Componentsをもっと僕たちがよくする、よくしているという状態でありたいんですよ。それ以外の技術仕様、たとえばCSSやHTMLといった基本仕様ももちろん関係している。いろんな仕様をよくしていかないと、Webの仕様がよくないから実現できない、となってしまって、それはあんまり夢がないなと。W3Cを通じて、そういった活動に寄与している組織とかチームになるといいなと思っています。

中神: いいですね。仕様について貢献してWebを良くして、プロダクトもきちんと拡張できるようにする、という。

インタビューする中神

Sakito: やっぱりそれって、Webとの接点がないと発想として生まれないと思うんです。今回W3Cに加入したっていうのは、そういう接点を会社として用意したという意味で、メンバーにとってもいい影響があるといいなと思ってますね。

中神: この間もW3Cの日本会議でお会いしましたけど、村井純先生とサイボウズの青野社長が対談されていて、代表が活動にコミットしておられるのもいいなあ、と思ってました。

Sakito: いやー本当にありがたいです。

中神: ですよねえ。エンジニアが技術の興味だけで活動してるわけじゃなくて、企業としてコミットしているという、意味や価値が社内外に伝わりやすいよなあ、と。

Sakito: ああ、それで言うと、僕らもいいなあと思ってることがあって、StudioさんがWeb Font周りでちゃんと仕様にコミットされているというのは、僕たちとしても刺激をもらっています。Studioさんがそういうことできてるなら、僕たちももっと何かできることあるんじゃないか、考えるきっかけになっています。

中神: ありがとうございます。Web Fontの新しい仕様策定についてStudioも貢献できるんじゃないか、というのはStudioの諸田や鈴木がW3C加入時から考えていて、準備してTPACに持っていったんです。ワーキンググループの議事録に「Studio」の社名が載った時はうれしかったですねえ。

Sakito: お互いにそうですけど、日本企業としてコミュニティに参加していなかったら、そういう発想が生まれないですよね。

中神: 確かにそうですね。

Studioオフィスの会議室にて話すSakitoさんと中神

Sakito: そういう意味で、サイボウズとかStudioさんが入ってる。他にもいろんな日本企業が入ってる。特にユーザーを抱えた、Webを拡げる事業をしている企業が増えていくと、すごい刺激になるんじゃないかなと思います。

中神: わかります。最初に言っておられましたけど、W3Cのいろんなワーキンググループ内でのやりとりで、サイボウズさんもStudioも、うちのユーザーはこういうふうに思ってて、こういう使い方してて、こういうデータがありますよと言える状況がすでにある、というのが強いところだと思いますし、日本のユーザーはこう思ってるんだよ、ていうのを、我々だけじゃなく、日本のサービス提供企業が一緒に声を上げられるっていうのは大事な気がしています。

Sakito: ほんとにそう思います。たとえば、日時の多言語表記とかもそうですよね。サービスをグローバル展開するとなると、ハードルの一つとして言語がある。日本語で使いやすいプロダクトを作っても、グローバルに展開しようとすると海外の仕様に適応するために工夫しないといけない。日本語特有の課題っていろいろあるので、そういう課題についてW3Cで声を上げて影響度が大きくなれば、ユーザーの声を代弁することになるんじゃないかと。なので声を上げていくだけでも、僕らのアプリケーションを使ってくれるユーザーにとっていい影響があるんじゃないかなとは思うんですよね。

中神: そうですね。僕たちもグローバルを知ることでローカルの見方が少し変わるというか、自分が関わってるアプリケーションって本当はどうしたらいいんだろう、もっといい課題の設定や、解決策があるんじゃないか、みたいなことを考えてますね。

Sakito: ああ、そうですね。僕に関して言えば、UI‥っていうか体験も含めてなんですけど、かっこいいだけじゃないなっていうか、ほんとうに誰でも使えるようにっていうところはさらに意識をして作ってるかもしれないです。グローバルもそうだし、行政の方が使うとか、たとえば工場で使うとか、ユーザーはいろんな環境でアプリケーションを使うんですよね。その中で、どのユーザーにも使いやすいものを作るには、いわゆる「かっこいい」だけじゃないんだよなー‥とか、そういうことは考えてますね。

中神: たしかに、なんとなくかっこよくて使いやすそうで使ってみたけどそれで終わり、みたいなことが起こらないようにしたいですね。

コミュニティに参加すると、どんどん繋がっていく。

考えているSakitoさん

Sakito: そういう考えのきっかけとして、コミュニティの役割は大きいと思うんですよね。あといろんな企業やサービスのコミュニティがありますけど、日本のコミュニティの盛り上がり方は独特だなと思うんです。結構すごいと思っていて。コミュニティの中でいろんな企業が相互に連携しあって、いいプロダクトを作ることに貢献している。

中神: ああ、たしかに利用者同士のアイデアの交換とか、開発のやりとりが活発に行われているコミュニティがたくさんありますよね。

Sakito: そうそう、そうなんです。

中神: エンジニアの勉強会コミュニティもかなり多いですもんね。

Sakito: ああ、確かにそれもそうです。日本独特のものがある。いま思いましたけど、海外に行くと勉強会ってあんまりないんですよ。

中神: ああ、そうなんですね。なるほど。

Sakito: ミートアップはありますけど、カンファレンスの前後に、周辺でミートアップをいっぱいやる、みたいなかんじです。日本はかなり日常的にいたるところで勉強会をしてますよね。

中神: そうですよね。確かに、特に東京とか大きな都市だと毎週いろんな勉強会がある。

Sakito: そういうところでプロダクトの話が出ることがいっぱいあるので、それが日本の良いところかもしれない。

みんなでWebの仕様や技術やデザインの話をしてる中で、あの会社さんはこういう課題を解決してくれるからいいよねみたいな話が広がるだけでもいいし、価値があるなと思って。まだまだですけど。

中神: この間サイボウズのオフィスに伺いましたけど、オフィスにたくさん、しかもカラフルで規模も大中小それぞれの会議室があって、ああいうところで勉強会を頻繁に、いろんな人がされている。ああいう環境が用意されていること自体、そういうエコシステムを大事にしていることの象徴なんだろうなと思いました。

Sakito: うん。確かに、日本ってカンファレンス自体もよく行われますけど、コミュニティ主催のカンファレンスも結構あるじゃないですか。プラットフォームやサービスというよりは、コミュニティが主導して行うという。

中神: 確かにそうですね。

Sakito: そういうカンファレンスにけっこうブースを出すんですけど、僕としては採用目的だけで参加してないんですよ。たとえば登壇することだけでも僕たち自身にいい効果がある。登壇者が1人いれば、そのコミュニティを盛り上げることになります。そしてコミュニティを運営してくれてる人たちがいるので、協賛してブースを出すことによって運営に企業として貢献して、そのカンファレンスを盛り上げる。協賛するときはそういうことを考えて出してますね。

で、W3Cの活動自体もそうだと思ってるんですよ。参加して、興味を持ってくれる人が増えて、成長するきっかけになればいい。会員になって、ワーキンググループに参加することによってW3Cの運営に貢献し、知見や刺激をもらって、また人が増えて、といった感じで相互に関係している。

中神: うんうん。

Sakito: そのコミュニティの発展に寄与していくためにできることをして、いろんなかたちで相互に寄与し合っていければいいな、みたいな気持ちでいます。

中神: いいですね。僕自身、協賛や技術広報に関わるようになったのはこの1年くらいで、まだまだなんですけど、同じ気持ちでいます。採用だけが目的じゃないっていうのはまさにその通りで、どんな関わりであれ「仲間が増えればいい」ってよく言ってるんですよね。ちょっと興味を持ってくれるだけでもいいし、ユーザーになってくれたら仲間だし、社員になりたいと言ってくれたらもちろん仲間だし、いろんな仲間の種類があると思ってて。同じ船にちょっとでも関わりたいみたいな人がいてくれたら、協賛とかW3Cの加入も含めて、成功なんじゃないかみたいな話をしてるんです。

Sakito: カンファレンスも、OSSとかW3Cも、やっぱり繋がってはじめてコミュニティだと思ってて。やり始めた時はそんなに貢献度はないですけど、一つ一つ重ねていくと、どんどん繋がっていきます。カンファレンスのスポンサーも、うちには3、4人で始めたフロントエンドエキスパートチームというのがあったんですけど、最初はほんとにそれくらいの始まりで。今カンファレンスに行こうってなったら、CFPをメンバーみんなで出そう、とか、そういう話になる。

自然と、声かけなくてもブース手伝いますとか、そもそも参加自体もしたいですみたいなメンバーがいっぱいいて。会場に行くと「サイボウズさんめっちゃいますね」って言われて。それって僕らが始めた当初ってなかったんです。

中神: なるほど、そうなんですね。励まされるなあ‥。

熱を広げるために、最初の火種を生む。

Sakito: そういう熱の広がり方が起こっていく‥W3Cの活動もそうなるといいかなと思ってて。やっぱり熱を広げるために、最初の火種を生む。その火種が広がっていって、最終的にW3Cの活動になる。そうすると「サイボウズさんってW3Cの活動めっちゃやってますよね」みたいな評判になることと、いつかつながる‥可能性があると思ってて。そんなふうになればいいし、そうなったら、Studioさんとももちろん引き続き関係しながら、もっと加入企業が増えていって、どんどん盛り上がるじゃないですか。それぞれがお互いにまたインタビューしたり、イベントに出たりして。そういった意味でもいいコミュニティになっていくといいなと思って。

中神: いいですね。そういうコミュニティへの目線や希望があるから、積極的に取り組めるんでしょうね。

Sakito: 個人として去年からけっこう意識してやってるんですけど、僕、デザイナーのカンファレンスとか勉強会にも結構呼ばれて登壇するんですが、そこではエンジニアリングの話をするんです。

中神: デザインではなく。

Sakito: はい。で、エンジニアのカンファレンスや勉強会に呼ばれたら、デザインの話をする。そういうことをやる人、あんまりいないなと思って。何かを押し付けるような話をするんじゃなくて、これを知るとデザインにとっていいことがある、デザインではこういう考え方や方法があるからエンジニアがこういうふうに考えるともっとアプリが強くなる、みたいなことをそれぞれに話してるんです。W3Cの活動についても、デザイナーのカンファレンスで喋ってみるとかも楽しそうだなと思っています。

中神: 確かに、楽しそうと思いつつ、それを楽しそうにできるのが、Sakitoさんのユニークなところですね。それってけっこう大変なことじゃないですか?

質問をしている中神

楽しそうにやる。そして、次の人にバトンを渡す。

Sakito: そうなんですけど、でも、楽しいんですよね。そもそも自分自身のキャリアのスタートが、Webにまつわる日本のエンジニアやデザインカンファレンスのユーザーコミュニティに受け入れてもらったことだと思ってて。

中神: うんうん。

Sakito: そういったところに企業としても寄与できたりとか、個人としても寄与したりとか、複合的に考えて、僕もそういう役割を手伝えたらなっていう。

中神: じゃあ、その感謝をまたコミュニティに還元して、バトンを渡していく。

Sakito: はい。それをやる人は絶対必要だと思う。だから会社の中でも、できるだけそういうことがやりたい人に、やってもらえるように努力したいなと思ってるんですよね。もちろんそれ以外もやらないといけないんですけど。

中神: そういう意識があるから、間を繋いだり、コミュニティに出て行って登壇したり、新しい人を見つけたりみたいなことが楽しくできるんですね。自分が持っている、あるいは誰かが持っているバトンを、反対側に渡したら何かいいことがあるぞ、っていうことを信じてやっているという。

Sakito: W3Cの活動も、別にサイボウズが始めたわけでもない。日本の企業ではいろんな方が、先人がいたから、僕らも加入して日本の中でコミュニティに入ることができたわけですから。

中神: 確かにそうですよね。誰かのバトンを我々が受け取っているっていう。

Sakito: だから、これからさらに加入企業が増えたらとにかくいろいろ協力する、というのもひとつの役割なのかなとは思ってます。

中神: そうですよね。その分バトンがまた増えますもんね。

Sakito: 話が戻りますが、そういえばTPACでもそういうコミュニティの力を感じました。

中神: そうですか。

Sakito: はい。みんな、議論めっちゃするんですけど、終わった後の廊下とかでも、移動しながら議論するんですよ。それってこうならない?とか、それやっとくよ、とか、こういう取り組みできない、みたいな話をめっちゃしてて。だからWeb自体がそもそもコミュニティとして開けてると感じたし、なにより僕らを、めちゃくちゃ受け入れてくれる(笑)。W3Cの方々も大歓迎してくれたので、そういうのも嬉しいですよね。

中神: そうですよね。確かに、すごい感謝されますよね、W3Cに(笑)。

Sakito: いや、そうです。意外だった(笑)。

笑顔のSakitoさん

中神: そうそう、そんなに感謝されるものなんだ、と。あんだけ会員さんがいて、大きな企業の、ベテランの方も、アカデミックな方もいっぱいいらっしゃる中で、我々にもすごい感謝してくれるな‥と思って。

いや、いい話ですね。お話を聞いてすごくこれからの活動のモチベーションになりました。

Sakito: 僕たちもまだ全員がW3Cの活動に興味を持っているわけではないんですが、たとえばカンファレンスに登壇したり、ブース出したり、みたいなことを楽しそうにやってると、楽しそうだなと思って入社してくれる人が現れるんですよ。

中神: そうかあ、楽しそうにやってると。いいですね。

Sakito: そういう人たちが増えたら、さらに楽しくなる。それがきっかけで入社した人は、自ずとコミュニティに還元しようとか、カンファレンスやろう、登壇しよう、という活動を自分から広げていくんですよね。だからW3Cの活動も、やればやるほど積み重ねで良くなっていくのかなと。

中神: 確かに。そういう、楽しいことの連鎖ですよね。単純に仕事の役に立つというだけじゃなくて、コミュニティへの貢献とか、自分がだれかのためにできる楽しいことを探していきたいですね。楽しそうな雰囲気を作るって大事なことですね。

Sakito: サイボウズは勉強会のためにオフィスをめっちゃ貸し出してるんです。今度W3Cの30周年のイベントも弊社で行われるんですけど、そういう協力ももっとしたいと思ってて。最初は個人的なつながりがある勉強会にオフィスを貸し出してたんですけど、そのうちいろんな企業から貸してほしいって言われるようになって、最近は海外企業からも声かけてもらうようになりました。

あの企業で勉強会すると一緒にやってくれる、そういう熱量がある、というのが伝わったんだと思うんです。それと同じことが今回のイベントでも起きたりとかするといいなと思うし、加入を検討する企業が増えるかもしれないし。そうやって日本のコミュニティに何かを還元していったら、最終的にはWebに還元することになるのかなと思います。

中神: ああ、そうですよね。意外と、W3Cに加入できること自体がまだ知られてないんじゃないかと思うんですよね。

Sakito: そう思います。実際めちゃめちゃコスパがいいと思ってるんですけど、あんまり伝わってないっていう。なので強調したいですね。こういうStudioさんとのつながりとか、W3Cの方、日本の運営の方とかでも、すごいいろいろやりましょうとかって言ってくれたりとか。W3Cの30周年のイベントも、やっぱり会員企業だから場所を提供できるっていうのが単純にあるし。

中神: 本当にそうですね。伝播させるためには、まず熱量があることもそうですし、僕たちがW3Cで楽しそうにしているっていうのが大事ですね。今回の記事も楽しそうな記事にしたい(笑)。

笑顔の中神

Sakito: そうですね(笑)。これからW3Cに加入する企業さんに対しても、取り組みを手伝いたいなと思ったりはしますね。今Studioさんと2社でこうやってやってるのを、3社4社でミートアップ一緒にやるとか。

中神: いいですね。以前からW3Cに貢献してる企業さんはたくさんあるし、お互いに知ればもっとなにかが起こるかもしれないなと思っているので、やっていきたいですね。

Sakito: ほんとにそうですね。

中神: たいへんうれしい、今後のモチベーションになる話が聞けてうれしいです。2026年ももう後半ですけど、今年そして来年、こんなコミュニティにしたいな、こんな貢献したいなみたいなのってあったりしますか。

Sakito: まずは今度のW3Cの30周年イベントがそうですけど、既存の日本会員企業がいっぱいいらっしゃるじゃないですか。そういった会社さん同士でもつながる活動が何かしらあるんじゃないかなと。TPAC行った時は、日本の会員企業で会食しましょうみたいなのがあったりとかして、そこで初めまして、ていう挨拶をいっぱいしたんですけど、その場限りしか会ってないなと思って。

それで何かしら、そういったWeb技術に対する会員企業さんたちでいろいろできたりとかするだけでもいいのかなと。

中神: 確かにそうですね。バトンを繋いだり、また受け取ったり、と。我々もそうしていきたいと思います。

Sakito: W3Cの30周年イベントは、来てくれます?

中神: はい。うちのメンバーと一緒にお伺いします。

Sakito: W3Cの会員以外も参加できるイベントなので、またお会いしましょう。会員企業じゃなくても入れるW3Cのイベントって、今のところあんまりないんですよ。

中神: 開かれたイベント、いいですね。きっといろんな人がたくさん集まると思うので、楽しみです。ひきつづきよろしくお願いします。

Sakito: はい、ではまた。こちらこそよろしくお願いします。


Sakitoさんの話から、W3C、そしてコミュニティに貢献することの意味について改めて考えさせられました。楽しく貢献できるところがもっとないだろうか。人に伝わるほどの熱量が持てる分野が、まだまだあるんじゃないだろうか。Studioとしても、個人としても、考えながら前に進みたいと思います。サイボウズさん、Sakitoさん、ありがとうございました!(Studio 中神太郎)

Studioオフィスの盆栽と「UnleashCreativity(Studioのミッション)」ネオンサインの前に立つ、Sakitoさんと中神

対談中に言及された、2026年9月4日にサイボウズで開かれるイベントページはこちらです。

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